研究概要 |
1.床に物を落した時, その物体にどの程度の力が作用するかは, 落体および床の物性と落下高さにより決まる. この衝撃力を予測する式を理論的に誘導し, それが測定値と一致することを確かめた. 2.また, 各種物体が床に落ちた時の反発係数が, 床および落体の物性の何により主として決まるかを検討し, 落体と床両者の荷重-変形曲線のヒステリシス・ループが大きく関与していることを見出した. また, 反発係数の子測式も誘導し, 測定値とほぼ一致することを確かめた. しかし, 落体と床の組合せによっては理論値の方が測定値より大きな反発係数を与える傾向が見られ, これには両者の固有振動数の違いが関与しているものと考えられる. 3.合板床, パーティクルボード床, コンクリート床, ALC床およびその上に, Pタイル, 畳, カーペット, クッションフロアを敷いた床の歩行感のアンケート調査を行なった. このアンケート結果と物理量との関係を検討し, (1)「硬さ」と相関性の高い物理量として, "鋼円柱圧入による硬さ測定法"を提案した. (2)「冷たさ」のイメージは, 足からの熱流量の対数と非常に高い相関があることを確かめた. (3)足でトントンとたたいた時の下地の衝撃感は, 厚手のカーペットや畳敷きでは床下地の剛性よりも敷物の影響が大きいが, 2.5mm厚のクッションフロアでは, 下地の影響が大きく現れた. 自動車タイヤのホイールベースにおける落下衝撃加速度と「衝撃感」との相関係数は, 円柱圧入硬さとの相関よりは低かった. (4)各種落球(鉄球, 木球, ガラス球, ゴルフボール, バスケットボール)の各床に対する反発係数は, 「硬さ」, 「下地の衝撃感」, 「歩きごこち」のイメージのいずれに対しても明確な相関関係は認められなかった. (5)「歩きごこちのよい」イメージと, 「柔らかい」「暖かい」イメージとは相関が高かった.
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