研究概要 |
イカ釣漁船における漁業情報の利用状況を把握するため, イカ釣漁船(函館, 両津, 香住, 境港, 浜田各港)よりアンケート調査を行った. その結果, 船間連絡情報によって操業位置を決めるとき, 最も利用するのは他船の漁獲状況と操業位置の情報であった. 出港前及び沖出し中に操業位置を決めるとき最も重要となる漁業情報は船間連絡による他船の状況, 次いで過去の経験であった. 漁況情報の中では最も利用率が高く重要度の順位が1位なのは他船の漁獲状況, 次いで漁場形成位置であった. 海況情報の中では表面水温が1位で, 次いで潮境位置, 各層水温という結果が得られ, 漁業情報を利用した操業位置選定に関する有益な基礎資料を得ることが出来た. 次に最適な操業位置選定システムの開発にあたり, まず近年の日本海におけるイカ釣漁業の漁場形成をマクロ的な視点から検討を行った. また, 昭和59〜61年に日本海で操業した神奈川県イカ釣船団のスルメイカ漁況について, 船団各船の1日1隻当り漁獲量から各年の漁況の推移を調べるとともに, さらにスルメイカ漁場と表面水温との関係についても調べた. これら一連の研究の資料は昭和59〜61年に日本海で操業した神奈川県イカ釣船団の船間連絡(QRY)資料を用いた. 近年の日本海における漁場形成は59年から再び大陸沿岸寄りとなり, 南部沿海州漁場の漁獲が最も多く, 60年も同じ状況であった. 漁況については59年は前年の漁獲をさらに下回る漁模様で終り, 60年は沖合域における中型船の1日1隻当り漁獲量は59年を10〜15%上回る漁であった. しかし, 61年のCPUUEは60年の50%以下で, 昭和40年以来最低の水準であった. 漁場形成及び漁況の推移については長年月の検討が必要であり, 水温と漁獲との関係については中・下層水温との比較検討も必要である. 本研究ではイカ釣漁船の移動距離と漁獲との関係から船間連絡情報の利用についても調べた.
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