研究概要 |
褐藻コンブ属のマコンブ・ナガコンブ・ホソメコンブ・リシリコンブではすべての正逆交雑で種間交雑種が得られた。アラメ属のアラメ、カジメ属のカジメ・ツルアラメ・クロメ、アントクメ属のアントクメの5種間では、すべての属間,種間で交雑種が発育した。しかし、アントクメとアラメまたはツルアラメとの組合せでは交雑種の発生数は少なかった。ワカメ属のワカメ・ヒロメ・アオワカメのいずれの組合せでも交雑した。しかし、コンブ属またはワカメ属とアラメ,カジメ,アントクメ属の属間交雑、ワカメ属とコンブ属の属間交雑では雑種は得られなかった。 マコンブ,ナガコンブを雌として他のコンブの種との雑種は、自殖のものと同様に海でよく生長し、産業的にも活用できると思われた。また、葉長がほぼ同じであるワカメとヒロメの雑種は、両親藻のどちらよりも大きく生長したので、両種の雑種は雑種強勢の性質を示すように観察された。 また、ワカメとアオワカメ,アオワカメとヒロメの雑種も大きく生長したので、もどし交配なども行えば、生産性の高いワカメの養殖種が作出できる可能性が強い。 コンブ,ワカメ類の配偶体は、数年〜十年以上継続培養すると、成熟が不良となることが判明した。この研究で、ワカメの遊走子発芽配偶体に早晩熟性の株があることが立証されたので、あるいは晩熟性の株が長年のうちに繁茂し、それが不稔性の一因になっているとも考えられる。 このような現象を防止し、配偶体がよく成熟して毎年多くの【F_1】種苗を確保するには、定期的に継続培養の配偶体の成熟をテストしておき、それらのうち早熟性の株を分離培養して、それを増すようにすることが必要である。
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