研究概要 |
本研究では、淡水魚の病原菌としてテラピアから分離したVibrio属菌およびニジマスから分離されたAeromonas bydrophilaを取り上げ、腸内優勢菌株と比較したがら、細菌学的性状および病原性について検討した。 1.ラテピアから分離したVibrio病原菌は、ラクトース分解性、リジン・オルニチン脱炭酸,塩分要求性等の特徴的な性状からV.vulnificus biogroup Iと同定された。 2.V.vulnificusの不透明株と半透明株とは、コロニー形態以外は、細菌学的性状,血清感受性等ほとんど差異は認められなかった。しかし、LPS構造あよびコイに対する【LD_(50)】値(3.3×【10^8】,および2.5×【10^(10)】)にはかなりの差が見られた。 3.A.hydrophilaの病原株TF7とそのUV変異株とは、LPS構造,血清感受性について異なっていたが、コイ,テラピアにたいする【LD_(50)】(3.6〜5.5×【10^6】)にはそれほど差は見られなかった。 4.Aeromonas病原菌,Vibrio病原菌ともに、テラピア血球に対する溶血性,ウナギ非実質細胞に対する細胞変形作用を示したが、前者の方が活性が高かった。 5.テラピア腸内優勢菌株の中には、血清感受性株も低抗性株も含まれていたが、病原性は両者とも認められなかった。 以上の結果から、Aeromonas病原株とVibrio病原株のLPS構造,血清感受性,溶血性,病原性との関連性が異なっており、病連性因子についてはさらに比較検討する必要がある。
|