研究概要 |
昨年度に続き, いくつかの地区で施設運用実態等を調べた. 1.庄内平野の日向川地区(自然圧)は, 右岸約1200ha, 左岸約400haの地区である. 末端水利用は2ブロックに分け12時間の交代となっている. 管網幹線管路の送配水は, 担当者の「経験と勘」で行われているので水理的表現を試みた. 普通期における計画時の配水状態(主要な管長, 管径, 管路接続状況, 係数, 取出し流量)をパソコンに入力して, 各管路内の流況を把握し, 各節点でのエネルギ位を求めた. 次に, バルブの水理特性を用いて, 近似的にある地点のバルブ開度時のバルブ上流側の流量を与件とし, Hardy-Cross法で管網内流況を推定した. このようにして推定したあるバルブ開度時の管網内流況と実際の現地での管網内流況(各点の圧力値)を比べると両者の傾向はほぼ同じであるが数値的には差異があった. そこで計算上の圧力値と現地での圧力値の比を求め補正を試みたが定量的な点で無理があった. この地区は制御機器を少なめにした「見試し」による施設運用を考えたようで今後この方法を積上げていくのが適当な地区である. 2.秋田県仙北平野の樹枝状管路(長さ約9km, 管直径2000〜1200mm)地区を対象に, 実測値を用いて水理特性を検討した. その結果, 設計時の水理係数と比べ差異があったのはスリーブバルブの損失係数でこの係数をバルブ開度, 管径の関数として実験式を求めた. この値を用い, 現地運用(送配水管理)が進められている. 3.末端水利用を考慮した支線管路等の設計例を調べたところ, 直径(支線管路)は150〜200mm程度で, 末端水利用(重点的送水)を考慮しない場合に比べ管径が2ランクぐらい大きく, また, 資材コストはあまり変らなかった.
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