研究概要 |
農業土木工事によって造成されるコンクリート構造物は, その工種, 規模など極めて多種多様で, その施工にあたっては, それぞれの目的や重要度, 現場条件などに応じて, 適切な施工管理を実施してゆくことが必要である. コンクリート構造物の完成後の品質は, コンクリートそのものの材料としての性質だけでなく, 打設後の養生の如何によって大きく変わる. そこで, 養生方法による品質の変動傾向を実験的に明らかにし, 品質管理における品質制定のための条件を明確にするための研究を行った. 屋外養生でも, 水分を十分に与えた場合の強度の差異は, 温度の影響が主であり, したがって, 強度の発現の推移が季節によって異なるので, 現場養生の品質管理試験値とくに短期強度の試験値の利用については注意が必要である. これに対し, 外気に曝して放置したものはかなり強度が低いことが確認された. 被膜養生剤を塗布したものは, その効果は認められたが, 季節によってはその効果が不安定な場合があった. また, 水セメント比を変えたコンクリートに対する養生条件の影響の違いについても実験的に検討した. それらの結果を利用することにより, 7日強度あるいは3日強度から基準材令の28日強度を推測する関係式を求める方法を考察した. 農業土木工事における品質管理の実態を調査するため, 実際の現場の品質管理のデータや資料を収集し, そのうち, 比較的条件の揃っている現場のデータを解析し, 品質試験値の分布や変動状況, あるいは現場養生と標準養生の関係などを調べた. 初期には多少の品質の変動がみられたが, 全般的には品質は安定しており, その変動は当初の予測よりもかなり小さかった. このような管理試験の結果をコンクリートの施工管理に活用することにより, さらに合理的な施工管理を図ることができると思われる.
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