研究概要 |
(1)湧水量の経年変化: 湧水量の年変化状態が毎月の流量測定によって明らかにされた. 実測結果によれば, 梅雨あけの7月中旬には最大値の2.8t/sec/15haを示すが, 1月中旬には1.3t/sec/15haと最小値を示した. 以上を極値とする季節変動は調和解析によって数式化された. (2)湧水量漸減の傾向: 聞きとり調査と実測結果によれば, 近時, 湧水量は漸減の傾向を示しており, この傾向が進めば湧水を利用している産業や従来の安曇野の風物は大きな打撃を受けることになるであろう. したがって, 長期的観測体制の確立を提言したい. (3)地下水補給域の保全を!: 対象域の地下水補給に河川が大きな役割を果たしている. しかしその河川が特殊目的の為に人工的に制御され, 常時, 流下水はない. これが地下水位低下の大きな原因の一つである. 従って, 単に河川のみならず, 流域全体としての水の保全利用に関する総合計画の策定が必要であることを提言したい. (4)湧水量: 山葵田の湧水温には場所により多少のバラツキが認められるが, 年間を通じての振巾は約6°Cであり, 気温変化に対する遅れは1.5ケ月である. (5)山葵田の熱収支: 1〜3月は田面からの放熱があり, 4〜5月では熱の授受は零. 6月から田面は受熱に変り, 7〜8月で最大受熱となり, 9〜10月中旬に再度熱授受は零. そして10月下旬から田面は放熱状態に変る. 山葵栽培はこの熱収支特性に注目すべきである.
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