研究概要 |
本研究は, 吹送流型2成層密度流における密度界面の低下過程, 流速および密度分布の推移に関する予測モデルの確立を目的としてものである. 現象を表現する基礎方程式を閉じた方程式系にするには, 連行速度を決定せねばならない. 従って, 本研究の目的は連行現象の機構解明及び連行速度則を決定することに帰する. 昭和61〜62年度に至る研究で得られた成果を要約すると以下のようである. (1)連行速度に関する実験……1).連行速度は成層安定度, 外力の大きさいわゆるリチャードソン数Riに支配される. 2).風上側に発達する中間層の規模が小さい場合, 連行現象は鉛直1次元過程と言える. 3).連行現象はその規模から, 密度界面の擾乱による拡散的なもの(拡散型), 密度界面に発生, 発達する内部波の砕波によるもの(砕波型)及びスケールの大きい渦の衝突・巻き込みによるもの(侵入型)の3つに分類することができる. (2)乱流構造に関する実験……1).乱流場には積分長さスケールおよび組織的な渦が存在し, いわゆる渦の2重構造性を呈し, これが下層流体の上層への連行および混合・拡散に深く関与している. 2).比較的持続時間の短い強い乱流状態いわゆる乱れの間欠性及び積分長さスケール渦が連行現象を支配している. 3).界面での乱れエネルギー方程式は連行速度求めるのに有用である. (3)連行速度則の決定……1).界面での乱れエネルギー方程式のパラメタリゼーションにより, U_e/U.=0.039(7.694+Ri.^<1/2>)/Ri.^<1-2>(Ri.-2.5)なる連行則を導出した. ここに, Ue:連行速度, U.:水の摩擦速度, Δρ:上下層の密度差, h:上層水深, g:重力加速度, Ri.=Δρgh/ρU^2.である. 2).前記の式はRi*の広い範囲にわたって実験値を良く表現する. 本研究は吹送流型2成層密度流における連行現象の機構を解明し, 連行則を求め, 一応の成果を得たと考える.
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