研究概要 |
本研究は, 組織培養における無菌苗生産プロセスのうちでも特にその無菌的作業が強く要望されている, カルス培養ステージにおける植え継ぎ作業を取り上げ, カルス塊の培地への移植操作の無菌的作業を, ロボットにより自動化しようと試みたものである. 微なうえ極めて軟弱な物性の植物組織の培養カルスを, 無菌的に, 傷つけることなく自動的に植え継ぎ・移植作業のできる, カルスハンドリングシステムを試作して, その作業性能を調べた. 1.システムの構成 システムは, ロボットマニピュレータ・グリッパ系, 画像処理系及びコンピュータ制御系よりなる. ロボット系及び画像入力装置はクリーンベンチ内に収容され, 外部のコンピュータにより制御した. 2.制御のアルゴリズム カルス画像の取り込みは, モノクロTVカメラによる画像入力システムを使用した. 画面の分解能は横320×縦200ピクセルである. この画像データをコンピュータで解析し2値画像化した後, カセルである. この画像データをコンピュータで解析し2値画像化した後, カルスの面積, 図心, 左右長及び上下長を求める. 画像座標系の図心座標をマニピュレータ座標系に変換し, マニピュレータ各関節の回転角度を指令してロボット指先をその位置へ誘導する. つぎに, 圧覚センサを用いてカルスを狭む力を測りながらグリッパを狭めて行き, 一定の力にセンサフィードバック制御にしてカルスを摘み上げ, 新しい培地の入ったシャーレへ置床する. 3.システムの性能 コンピュータによる指先の狭持力制御により, 5〜10gの力で, 大きさ10mm, 重量200mg程度のカルス個体を安定して把持することができた. 単一カルス個体の場合では, 20秒程度の時間でカルス認識と移植動作を実行できたが, 複数のカルス個体を認識するケースでは, 計算にかなりの時間を要した. 一貫したカルス植え継ぎ作業を自動化するためには, さらにカルス分割工程を組み込むとともに, 画像処理のアルゴリズムを改良し, 高速化が必要がある.
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