研究概要 |
〔目的〕ニワトリは, 毎日一個の卵を数十日以上連続して産むことができる. 産卵現象の過程において放卵は最終段階で毎日一定の時間帯に行われる. 放卵が早すぎたり遅すぎたりすると軟卵, 破卵, 変形卵ができ商品価値のないものになる. 従って, 放卵のタイミングは, 卵生産経済性にとって重要なことである. 本研究はニワトリの放卵調節に重要な役割を果たすと考えられる下垂体後葉ホルモン(ATV)と卵巣プロスタグランジン(PG)の放卵調節の関与を明らかにしょうとした. 〔方法〕(1).放卵周期における下垂体後葉ホルモン分泌の変化. 放卵の予定時刻前23, 21, 16, 8, 4時間にPGF2d(1μg)を子宮内投与した. (2).放卵の予定時刻前3時間にPGE2(1μg)を子宮内投与. (3).前述時間にインドメタシン(5mg)を投与. (4).(3)と同様インドメタシンを投与しさらに放卵予定時刻にPGE2を(2)と同様に投与した. (1), (2), (3), (4)の実験について放卵の有無, 放卵誘起時間および血中AVTとPGF2dを測定した. 〔結果〕(1)子宮内に存在しない時は放卵が誘起されず投与後も血中PGF, AVT値の変化はなかった. これに対し, 子宮内に卵が存在する場合は, 投与後3-6分内に放卵が誘起され血中AVT値は著しく増加した. (2)PGE2に対し放卵誘起があり血中AVT値は増加した. (3)インドメタシンにより予定される放卵は8時間以上遅延し, 放卵予定時刻には血中AVTおよびPGF値には変化がみられなかった. (4)インドメンタシン前処理に加えPGE2を投与すると直ちに放卵が起り血中AVT値のみが著しく増加した. これらの結果から放卵の調節は, 卵巣PGが放卵直前に血中に放出され子宮筋の収縮を促し, 次に筋収縮増加が脳神経系に伝達され視床下部-下垂体系を通じてAVTを血中に放出し, 子宮収縮を増幅させ放卵を完了すると考えられた.
|