研究課題/領域番号 |
61560317
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
畜産学
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研究機関 | 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所 |
研究代表者 |
渡辺 智正 心障者コロニー, その他, 研究員 (10100174)
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研究分担者 |
富田 武 名古屋大学, 農学部・畜産学科, 教授 (70023421)
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研究期間 (年度) |
1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1986年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 遺伝多型 / 遺伝的多型 / ミトコンドリアDNA / 家畜 / キモトリプシン |
研究概要 |
家畜の臓器からDNAを抽出・精製して、制限酵素で切断した後、電気泳動して遺伝多型を調べた。ミトコンドリアDNA(mtDNA)は、母性遺伝するので、母系伝播の標識に用いることができる。またmtDNAは、核DNAと比べて10倍進化速度が早いとされているので、種内の遺伝的関係を調べる指標として優れている。鶏は、卵用種、肉用種、地鶏合わせて16品種(赤色野鶏も含む)を調べたが、わずかに白レグの1品種にだけ1塩基置換の変異が見られた。これに対して、セイロン野鶏は、家鶏とはかなり塩基配列の異なるmtDNAを持つことが判明した。このことから、家鶏の祖先は、特定の地域のきわめて少ない集団から出発したものと予想される。豚のmtDNAは、大きく2つのグループに分類された。一つは、ヨーロッパグループ(ランドレース、ハンプシャー、デュロックなど)であり、他の一つは、アジアグループ(バークシャー、中国および台湾在来種、日本の野猪はど)である。ところが大ヨークシャーだけは、ヨーロッパおよぴアジアグループのmtDNAが混在していた。このことから、バークシャーおよび大ヨークシャーは、その母方祖先にアジア由来のものが寄与していたと考えられる。一方、核由来のキモトリプシンDNAにも遺伝的変異が見られ、現在品種間による分布を検討している、このように、DNAレベルの遺伝多型の検出も可能になってきた。DNAレベルの場合、DNAの精製に時間を要するが、いったん精製すれば半永久的に保存、使用できるし、タンパクに翻訳されない領域の変異も検出することができる。また翻訳される領域でも、アミノ酸置換と関係ない塩基置換も対象となる。さらにDNAレベルの塩基置換は、進化の時間的尺度に忠実である。これらのことから、DNAレベルの遺伝多型の研究は、今後一層重要視される課題と考えられる。
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