研究概要 |
1.Taenia taeniaeformisの各種野生および実験小動物に対する感染能は寄生虫の株(北海道エゾヤチネズミ株, 北海道ドブネズミ由来株およびマレーシアドブネズミ由来株)により差が認められた. 特にラットとエゾヤチネズミにおいてその差が顕著であった. 現在ベルギー株について検討中である. 2.Tanenia hydatigenaの虫卵経口投与に対して抵抗性の実験小動物においても, 幼若いシスティセルクスの腹腔内移植では幼虫の発育が認められた. 3.Echinococcus multiloculrisおよびTaenia crassicepsの実験小動物への虫卵投与および幼虫腹腔内投与により各実験小動物における感受性の性が認められた. 4.マウスへのX線照射, コーチゾンおよびンクロフォスファミド投与により, T.taeniaeformisに対してより感受性となったが, カラギーナンおよびコブラ蛇毒因子の投与ではコントロールと同様に抵抗性であった. ステネズミおよびエゾヤチネズミにおいてはコーチゾン投与された動物においてもI.taeniaeformisに対して抵抗性があった. 5.E multicularisの虫卵はイヌの飼育者へ感染する危険性があるので, イヌに手術を施し腹腔内において隔離小腸を作製したが, この隔離小腸への腹頭節投与後虫体は全く発育せず, 死滅した. 6.E.multilocularisおよびT.crassicepsの原頭節をゴールデンハムスターに経口投与したところ, 前者は成熟片節形成まで, 後者は虫卵産生まで認められた. しかしながら, ゴールデンハムスターにおいて産生されたT.crassicepsの虫卵の感染能は示すことができなかった. 7.マウス近交系における追加実験およびin vitroでの実験は現在検討中である.
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