研究課題/領域番号 |
61560353
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用獣医学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
菅野 茂 東大, 農学部, 助教授 (70111482)
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研究分担者 |
土井 邦雄 東京大学, 農学部, 助教授 (70155612)
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研究期間 (年度) |
1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1986年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 育成豚 / 冠循環 / 高脂肪食 / 高脂血症 |
研究概要 |
他の産業動物に比べると、種豚の循環器病による死廃率の高いことが知られているが、この事実はヒトと同様に、豚が冠動脈の粥状硬化症を起こしやすい特性を有していることと無関係ではないと思われる。さらに、豚のもつこのような種特異性は育成期の段階においても何らかの負荷をかけることにより顕在化することが予想される。本研究は飼養衛生の立場から、種豚の心疾患防禦に役立つ基礎資料を得るために、育成期の豚に高脂肪食を負荷した時の冠循環動態の変化を明らかにしようとした。 三元交雑種の同腹豚を4週齢で離乳させたのち、通常育成飼料給与群(対照群)と1.5%コレステロール、15%ビーフタロー添加飼料給与群(高脂肪食群)の2群に分け、12週齢まで飼育した。この間、2週毎に血液および心電図検査を行い、12週齢の時点ではまず、自律神経作働薬に対する心血管反応を観察したのち、続いて開胸下で冠動脈血流を中心とした心血行動態を示す各種パラメーターを測定するとともに心房ペーシング時の心機能変化をとらえ、最後は病理組織学的検索にまわした。その結果、高脂肪食群は対照群に比べて。血中脂質濃度の有意な上昇、軽度の心電図変化および冠動脈血流量の有意な減少を示した。また、ノルエピネフリンなどの自律神経作働薬に対する反応を分析した結果、高脂肪食群では、アドレナージックレセプターの感受性が亢進し、圧受容体を介する血圧調節機構にも変化が生じていることが伺われた。さらには、心房ペーシング時の左心室内圧微分波および血中カルシウム、カリウム濃度にみられる経時変化の様態が両群間で相違することが知られた。一方、冠動脈を中心とした心血管系の病理組織所見には明らかな差異がみとめられなかった。以上の成績から、育成期の豚においても、高脂肪食を給与すると、形態面では目立つ変化が現れなくても、機能面にはかなりの影響が生じているものと考えた。
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