研究概要 |
2年間の研究の成果は, 次の4天にまとめる事ができる. (1)卵黄嚢の造血と卵黄嚢由来の循環赤芽球 マウスノ卵黄嚢では胎生8〜9非で欠陥芽細胞索として造血巣が形成され始め, 赤芽球生成をおこなった後, 11日以降急速に減衰する. 胎生10日の卵黄嚢では殆ど前赤芽球などの幼若な赤血球系細胞であるが, それに加えて, 8μm以上の核径で特異な核膜形態を有し, 欠陥芽細胞と類似する幼若造血細胞も少数ながら存在する. この造血細胞は胎生10日の胎児末梢循環欠陥中にも認められる. (2)肝臓造血と脾臓造血 肝臓造血は胎生10日〜11日で始まり, 生後1週までつづく. 造血は肝臓原基発生と同時に認められる. 大型核の増血細胞が多く, 12日以降分化した赤芽球が増加するが, 核径8μm以上の大型核造血細胞は15日までは肝臓に残存する. この造血細胞は骨髄が形成されるまで, 脾臓に認めることができる. (3)脾臓造血とリンパ球 脾臓は胎生16日以降造血細胞が出現し, 造血をはじめる. これと同時に小リンパ球があらわれる. 小リンパ球の形態から, 脾臓は胎生期における骨髄性リンパ球の産生部位と考えられる. (4)巨核球生成 巨核球は卵黄嚢造血巣に認められる. 骨髄の巨核球にくらべると小型である. 卵黄嚢の巨核球はきわめて少数であり, 分離膜系の発達を指標にYM1型, 2型, 3型に分類できる. 肝臓発生初期の巨核球はYM1ないし2型に対応する. 胎生15日で肝臓内から卵黄嚢型の巨核球は消失し, 大型の骨髄型巨核球のみになる.
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