研究概要 |
1.Compactionへの【Ca^(2+)】-カルモデュリンの関与 (1)Compactionを起していない8細胞期のICRマウス胚を、正常培養液で4,8または12時間培養したところ、それぞれ56.6,82.5および88.6%の胚がcompactionを起した。同じ発生段階の胚をカルモデュリン阻害剤W-7添加(25μM)培養液で4,8または12時間培養した場合、compactionを起した胚の頻度はそれぞれ0.9,1.3およびO%であった。それに対して、カルモデュリンに対する親和性がW-7の1/9ないし1/7しかないW-5添加(25μM)培養液で同様の培養を行ったところ、4,8および12時間でそれぞれ22.0,51.5および60.3%の胚がcompactionを起した。 (2)8細胞期のICRマウス胚を正常培養液で4時間培養してcompactionを起させたものを、25μMまたは50μMのW-7添加培養液で培養したところ、それぞれ2時間および8時間以内にcompactionしていない状態にもどった(decompaction)。これに対して、50μM以下のW-5を添加された培養液中では、胚のdecompactionは起らなかった。 以上の結果は、compactionへの【Ca^(2+)】-カルモデュリンの関与を示唆している。 2.CompactionへのCキナーゼの関与 2,4または8細胞期のICRおよびB6C3【F_1】(C57BL/6×C3Hの【F_1】)マウス胚を、Cキナーゼ活性化作用を有するPMA1nM添加培養液で8ないし72時間培養したところ、分割が抑制されて発生の進行が遅れたが、compactionおよび胚盤胞形成は行われた。そこで、Cキナーゼの選択的阻害剤H-7(25μM)とPAM(1nM)とを同時に添加された培養液で胚を培養したところ、PMA単独添加による影響は消失せず、同じ影響が高度に現われた。すなわち、Cキナーゼがcompactionに関与するという証拠は得られなかった。今後、抗Cキナーゼ抗体を使ってさらに検討したい。
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