研究分担者 |
小柳 緑 福岡大学, 医学部, 助手 (20153687)
辻 俊雄 福岡大学, 医学部, 助手 (00140749)
小川 皓一 福岡大学, 医学部, 助教授 (60078780)
TSUJI Toshio Fukuoka University, School of Medicine, Assistant
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研究概要 |
器官上皮の機能発現を, 上皮細胞が潤されている体液路の微小環境を上皮内リンパ腔とする概念の下に, 以下のような器官での研究所見を得た. 1)コルチ器:上皮内神経線維は支持細胞細胞質突起に係留されて, その位置が保持されているが, 拡大した上皮内リンパ(外リンパ)に浸されている. 感覚細胞に接する神経終末には球状および扁平状の二種の構造が区別され, 支持細胞突起に被われている. この支持細胞の突起を除いて, 神経終末の配置と形態を走査型電顕下に直接視することに成功した. また鼓室階を画する上皮様細胞の網状配列を明らかにした. 2)腸管上皮:(1)腸管上皮は微小環境保持のためだけでなく, 吸収機能を果すために, 小腸と大腸の腺間上皮には体液路となる細胞間隙系が発達する. 潰瘍性大腸炎ではこの細胞間隙に結合組織血管の破綻による出血成分が浸潤貯溜し, 〓爛や潰瘍へ至る初期病変を構成することを示した. (2)腸上皮に発達するパイエル板(集合リンパ小節)被蓋上皮では, 被蓋上皮の細胞質を経由した抗原要素(細菌など)が上皮内リンパ球に接することが知られているが, この被蓋上皮の細胞接着構造は疎であって, 可溶性抗原は上皮細胞接着構造を通過して上皮内リンパ腔に侵入できる可能性があることを示した. (3)ファブリシウス嚢リンパ小節の被蓋細胞を支える上皮性細網細胞配列の立体微細構造を示した. この細胞配列は被蓋上皮を経由した抗原のパーコレーションに生物学的意義があると考えられる. 3)上皮の支持組織における血管外腔の形態を次の器官で明らかにした. (1)脾臓白脾髄の濾胞周辺洞は脾実質のリンパ管である, (2)脾臓白脾髄にはリンパ管が発達し, 毛細リンパ管としての構造をもつ, (3)腎乳頭部の間質細胞は特有の配列をし, 脈管外リンパ路を形成している, (4)自律神経線維の軸索間膜の表面構造.
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