研究概要 |
サルとネコの能染上帯状回の皮質間結合をWGA-HRP法で検討し, この線〓結合には次の様な, 両動物に共通した特長があることを見入出した. サルにおいて, 特にそうであるが, この領域の帯状回は前部24野と後部23野とに, 細胞構築学的にも, 機能的にも分けられるという考えが強い. しかし, この研究では, 両領野に共通な〓〓が多い. 帯状回の皮質間結合は主として, 前頭, 頭頂, 側頭連合野と旁辺像皮質とからなっているが, これらは, この帯状回領域に通して認められる. ただ, ごく前部(サルではA25以前, ネコでは十字溝の後端より前方皮質)では頭頂連合領との結合を欠き, ごく後部では, 近隣の皮質間結合が優位になる傾向がある. 細胞構築学的にはネコでは頸〓層の発達が悪く, サルの様にagranular,dysgranularとgranularに分ける事が出来ないが, 線〓結合に関しては, サルと同様前傾向が認められた. 多重標識に関しては, 経費のかからないネコを使った. ネコにおいてサルに相当する投射がみられている領域3ケ所を選び, まず, これらについて二重標識を検討した. この3領域は, 1.シルヴィウス上回の前部も中部(7野), 2.プロレウス回の周辺皮質(前頭連合野と旁辺像皮質), 3.鼻溝皮質(旁辺像皮質)である. 1と2, 1と3, 2と3の組合せで, 帯状回ニューロンの逆行性標識をレクチンの一種であるWGA, コレラ毒素のB囲単位であるコレラゲノイドの二種により, ABC法, ABC-AP法で, それぞれ免疫組織学的に証明しようと試みた. いずれの切片でも, 重染あるいは鏡像にした隣接切片上で, 二重標識を確認することが出来なかった. 帯状回ニューロンは, あまり例枝を多領域に出さずに, 1対1対応の投射域をもっていると考えられる. 今後一層の検討が期待される.
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