研究概要 |
ネコ及びラットの大脳皮質からRNAを抽出し, cDNAの合成に成功した. そのサイズを検討した結果, 0.5〜6.5kbの比較的広範囲な, しかも大きなサイズの大脳皮質合成cDNAを得た. このcDNA(〜1μg)と各種臓器(腎, 脾, 肝, 肺)由来のpoly A^+mRNA(Total50μg)とをハイブリダイズさせ, ハイドロキシアッパタイトカラム(Bio Rad)で1本鎖のバンドを得た. また, 各種臓器から抽出したpoly A^+mRNAをメンブランフィルターに吸着させ, 固相法により, cDNAを吸収させ, 微量のcDNAを得た. これと平行して, 2本鎖cDNAを合成し, λgt11発現ベクターの中に挿入することに成功し, さらにinvitro packaging操作により, 2〜3×10^6コのcDNAライブラリーを得た. 次に, 牛の脳に微量に存在する分子量68,000のタンパク質を二次元電気泳動法およびHPLCにより精製し, このタンパク質のアミノ基末端から16アミノ酸残基を決定した(図1;都立大, 奥山典生). このタンパクに対して現在, モノクローナル抗体を作成し, クローニングを行なっている. また, クローニング後のin situハイブリダイゼーション実験にそなえて, 非放射性のDNA標識法の開発を平行して行い, かなりの成果を得た. また, 発現ベクターλgt11のラット脳のcDNAライブラリーから, アルギニノコハク酸リアーゼcDNA(AvaI-AvaI)をプローブ(1.3kb)として, スクリーニングし, 1個の陽性クローンを得た. このファージクローンよりcDNAを単離し, 制限酵素地図を作成した. (図2). これをラット肝のcDNAと比較したところ, 脳cDNAは肝cDNAに比べ, 5′側に約800bp, 3′側に約30bp大きいクローンで, 翻訳領域を共有していることが示唆された.
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