研究課題/領域番号 |
61570074
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経・筋肉生理学
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
竹内 昭 順天堂大, 医学部, 教授 (70052959)
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研究分担者 |
小野寺 加代子 順天堂大学, 医学部, 講師 (00053091)
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研究期間 (年度) |
1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1986年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 脊髄 / ラット / グルタミン酸 / substance P / NMDAレセプター / APV / 伝達物質放出 |
研究概要 |
脊椎動物中枢神経系において、グルタミン酸やアスパラギン酸は速い興奮性伝達物質と考えられているが、いまだ確定に至っていない。 アミノ酸が伝達物質と考えられる運動神経でのシナプス機序を解明するために、運動神経細胞に対するsubstance Pの作用を調べた。 生後7-10日のラットを麻酔下で脊髄を摘出し、半切して液中に固定した。酸素供与下で液を灌流しながら、運動神経細胞に電極を刺入して、細胞内より電位を記録した。substance Pを液中に投与すると、運動神経細胞で雑音を伴った脱分極がみられ、この脱分極はsubstance Pの濃度に従って増大した。低濃度(10nM-200nM)のsubstance Pの投与で起る膜電位変動は、外液のCa濃度を減少させることにより、又はTTX液中でほとんど消失した。一方、高濃度(500nM以上)のsubstance P投与によって現われる脱分極は、low Ca又はTTX液中で、雑音のないゆるやかな脱分極となった。この様に、substance Pの作用はlow Caなどによって消失するシナプス前作用と、low Ca,TTX中でも出現するシナプス後作用がある。 NMDAレセプターの特異的阻害剤であるAPVを投与すると、後根刺激によるシナプス電位は単シナプス性の速い成分は残っているが、複シナプス性の遅い成分は消失した。この時substance Pによる脱分極は顕著に減少した。しかし、雑音成分は残っていた。このことはsubstance Pの脱分極作用の一部はアミノ酸レセプターを介していると思われる。すなわち、液中に投与されたsubstance Pの作用の一つは、神経末端からの伝達物質の遊離、おそらくはグルタミン酸の遊離を起こし、それが運動神経細胞を脱分極すると考えられる。これは前年度得られた実験結果-後根刺激及びsubstance P投与による薬物刺激で脊髄から、グルタミン酸遊離が起る-と一致している。
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