研究概要 |
ラットを使用(300〜400g), ウレタン・クロラローズ麻酔Tで開腹し, 迷走神経胃枝, 肝臓枝, 腹腔枝, 膵臓枝を切断して迷走神経からの反射入力を遮断後これら各枝の切断中枢側で神経フィラメントを分離し, 双極銀線電極により遠心性神経活動を記録した. 神経活動はウィンドゥディスクリミネーターによりピックアップし, スパイクカウンターを通してペン書きレコーダーにより記録した. 5秒のリセットタイムにより神経活動のタイムコースを観察した. 各種ペプチドは下大静脈に挿入したカテーテルにより静脈内に投与した. 使用したペプチドはペンタガストリン, CCK-8, ソマトスタチンとANPの4種である. 実験結果:正常ラットでは10ng程度の静脈内投与で, ガストリンは主に迷走神経胃枝の, CCKは腹腔枝, 膵臓枝の遠心性活動を促進し, ソマトスタチンは迷走神経胃枝, 腹腔枝, 膵臓枝, 肝臓枝すべての遠心性活動を抑制した. 除脳ラットではこれらペプチドの静脈内投与は無効であったがグルコース投与は効果があり, 胃枝では遠心性活動の抑制, 膵臓枝, 腹腔枝では促進がみられた. ANPは1ng程度の静脈内投与で副腎神経, 腎神経の遠心性活動の抑制を起すが除脳ラットでは起こさなかった. 結論:生理的刺激により血流中に放出されたガストリン, CCK, ソフトスタチン, ANPなどのホルモンは血行を介して視床下部に至り, 血液-脳関門の少ないといわれるSFO(脳弓下器官), OVLT(終板器官)などを通じて視床下部内の, 上記ホルモンに対する受容体を持つニューカンに作用するのであろう. その結果我々が観察したように各種自律神経枝の遠心性活動で調節すると考えられる. またその結果, これらホルモンによる自律神経活動の修飾により機能調節が行なはれる.
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