研究概要 |
Whole-cell電位固定法を用い マウス短指屈筋から単離した筋繊維において、数種のCa^<++>チャンネルを通るBa^<++>電流、Na^+電流そして内向き整流K^+電流I(K,inward)の発達変化、および発達に及ぼす支配神経の影響について調べた。 生後1日目(P1)に単離した筋繊維は、一過性I(Ca,T)と持続性I(Ca,S)の2種のBa^<++>電流を示した。I(Ca,T)の値はP1で2.7A/Fであり、その後減少しP17までに消失した。I(Ca,S)の値はP1での6.9A/FからP30での27.7へと増加した。P4、P8またはP17での筋の除神経はI(Ca,S)の消失を妨げなかった。 Geographutoxin II(GTX)は、イモ貝からとれるペプチド性毒素であるが、GTX感受性I(Na,S)と非感受性I(Na,i)の2種のNa^+電流を識別した。I(Na,i)の膜電位依存の活性化と非活性化は、I(Na,S)のそれよりも10から20mV負の電位で起こった。加令にともないI(Na,i)はI(Na,S)よりも約4倍ゆっくりと減衰するようになった。I(Na,S)の電導度g(Na)、は生後20日の間に15倍に増加した。I(Na,i)のg(Na)は生後8日までは約0.15mS/uFであったが、その後減少し、P16には消失した。 I(K,inward)はP0の筋繊維および誕生直後に取り出し培養した筋菅においては見られなかった。しかし、instantaneousと時間依存性の2成分から成るI(K,inward)が、P12より年をとった筋において見られた。生後4日に除神経を行うとI(K,inward)の発達は抑制された。生後20日に除神経を行うと、増加したI(K,inward)は2日後には除神経筋の水準にまで減少した。 結論 生後2、3週の間にI(Ca,T)とI(Na,i)は消失し、I(K,inward)が出現する。I(Ca,S)とI(Na,S)は増加する。I(Na,i)の消失とI(K,inward)の出現には神経支配が必要だが、I(Ca,T)の消失には、神経支配は必要がない。 今後、チャンネルが筋の機能、発達に果す役割、チャンネルの出現、消長を制御する因子について研究を続けたい。
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