研究課題/領域番号 |
61570110
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
薬理学一般
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
山本 慧 慶応大, 医学部, 助手 (50138129)
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研究分担者 |
石井 邦雄 慶応義塾大学, 医学部, 助手 (90137993)
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研究期間 (年度) |
1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1986年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 腫瘍プロモーション / C-キナーゼ / 合成ジアシルグリセロール / ホルボールエステル / HL-60細胞 |
研究概要 |
本研究は代表的な腫瘍プロモーターであるホルボールエステル(TPA)の多彩な作用がC-キナーゼ活性化をinitial eventとした一連の反応で説明しうるか否かを検討する目的で、TPA同様細胞レベルでC-キナーゼ活性化をおこすと考えられている合成ジアシルグリセロールを用い検討したものである。以下に得られた結果を研究実施計画にもとづき示す。 1.TPAをマウス皮膚に塗布すると強い炎症反応が惹起されるが、合成ジアシルグリセロール、1.2-dicaprylin塗布では炎症は全く惹起されなかった。 2.TPAによる表皮オルニチン脱炭酸酵素(ODC)誘導ならびに腫瘍プロモーションがC-キナーゼ阻害物質として知られるpalmitoylcarnitine(PC)で阻害されるか否かを検討したところ、TPAによるODC誘導並びに腫瘍形成のどちらもPCにより強く阻害された。しかしながら、in vitroにおいてTPAにより活性化されたC-キナーゼはPCにより阻害されなかった。つまりPCによるTPA作用の抑制が果たしてC-キナーゼ阻害によるものか否か疑問に思われる。 3.HL-60細胞はTPAによりマクロファージ様細胞に分化するが合成ジアシルグリセロールである1-oleoyl-2-acetylglycerol(OAG)によっては分化誘導されない。そこでOAGと共に種々の生物活性物質を加えてみたがいずれによってもTPAの作用を再現出来なかった。 4.腫瘍プロモーターの存在無しには増殖不可能な白血病細胞株(A65T細胞)における1.2-dicaprylinとOAGの作用を検討したが、いずれもTPAの作用を代行出来なかった。これらの結果は、TPAの作用にC-キナーゼ活性化以外の因子も関与している可能性を示している。ごく最近C-キナーゼにはいくつかの分子種が存在する事が報告されており、合成ジアシルグリセロールとTPAが異なるsubstrate蛋白をリン酸化している可能性も考えられる。
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