研究概要 |
モルモット回腸(GPI)ならびにマウス輸精管(MVD)などの摘出標本において、エンケファリン(Tyr-Gly-Gly-Phe-Metor-Leu)(MEorLE)は、アマスタチン感受性アミノペプチダーゼ(AsA),ホスホラミドン感受性エンドペプチダーゼ-24.11(PsE)ならびにカプトプリル感受性ペプチジルジペプチダーゼA(CsP)などの酵素により不活性化されること、ならびに、これら3種類の不活性化酵素は、いずれもオピオイド受容体の極めて近くに存在することなどを当該年度以前に見い出し報告した。 当該年度では、1.GPIならびにMVDなどと同様に、摘出ラット輸精管標本(RVD)においても、MEはAsA,PsEならびにCsPなどにより不活性化されることを明らかにして報告した(Cui et al.,Japan,J.Phormacol,42:43-49,1986)。また、2.モルモットの線条体ならびに回腸などの粗膜標本において、MEはAsA,PsEならびにCsPなどのみで加水分解されることを明らかにして報告した(Hiranuma et al.,Japan.J.Pharmacol.,41:437-446,1986)。さらに、3.3種類のペプチダーゼ阻害剤を併用すると、ミューならびにデルタなどの受容体における効力の大きさの順位は、ME>LE>β-エンドルフィン(β-End)であることを明らかにした。これは、従来報告されていて、よく知られているペプチダーゼ阻害剤非存在下での効力の順位と異なるものである。なお、RVDにおいては、β-Endはエプシロン受容体に仂くとされているが、MEならびにLEなどは、どのタイプのオピオイド受容体に仂くか明らかにできなかった。RVDにおけるペプチダーゼ阻害剤存在下での効力の大きさの順位は、β-End>ME>LEであった。(Kuno et al.,Japan.J.Pharmacol.,41:273-281,1986)。
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