研究概要 |
培養ウシ副腎髄質細胞において、Naチャンネル、Kチャンネル、Naポンプの同定・解析・並びに、カテコールアミン分泌過程における関与について、検討した。 1.(1)ニコチン様アセチルコリン受容体に連結したイオン・チャンネルを介して細胞内へNa流入のおこること、(2)Na流入に対応してNa,K-ATPase活性が上昇し、Naが細胞外へ汲み出されること、(3)Na流入,Na汲み出しが、それぞれ、カテコールアミン分泌の引き金である細胞内へのCa流入の始動機構、終結機構として重要であることを明らかにした(雑誌論文1)。 2.カルバコール、ヴェラトリジンはNa流入に依存して、高濃度カリウムはCa流入に依存して、Kチャンネルを活性化し、細胞外へのK流出をおこすことを明らかにした(雑誌論文2)。Kチャンネルの分泌過程における意義については、今後、さらに検討したい。 3.(1)電位依存性Naチャンネルへの【^3H】-サキシトキシンの特異的結合は、Kd5.8nM Bmax427.2fmols/【10^7】cellsであった。(2)サソリ毒は、ヴェラトリジンによるNa流入を増強し、これはサキシトキシンで抑制された。これらの成績は、副腎髄質細胞の電位依存性Naチャンネルが、神経細胞のそれと極めてよく似ていることを示している(雑誌論文3)。 4.モネンシンは、(1)Na流入に依存して分泌をおこすが、ヴェラトリジンとは異なり、(2)モネンシンによるNa流入は、テトロドトキシンで抑制されず、(3)分泌様式も、non-exocytoticであった(雑誌論文4)。 5.Antidepressants psychotomimetic drugは、電位依存性Caチャンネルを直接阻害しないが、Na流入を抑制することにより、結果的にはCa流入、カテコールアミン分泌を低下させることを認めた(雑誌論文5,6)。
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