研究概要 |
タンパク合成開始の高い活性を持つウサギライセート系を用いて, 開始複合体を形成して開始AUGコドンと相互作用するタンパク質の同定を試みた. この目的のため, タバコモザイクウィルスRNAをRNaseTi消化して, 3′未満が開始AUGで5′先導域を含む残基長の断片(Ω断片)を調整した. このΩ断片の開始複合体形成は, 他の天然mRNAと同一経路で行なわれることを示した. Ω断片を用いて形成した80S開始複合体の解析から, 5SRNPが開始AUGコドンと相互作用をしておりこの作用がL5タンパク質によることを明らかにした. この結果から5SRNPはリボソーム上でPサイトを構成する機能単位であると推定できる. 紫外線照射による架橋実験から, S7,S10,S25,S29とL5が40S開始複合体で, S7,S25,S29とL5が80S開始複合体中で開始AUGコドンと架橋する結果を得た. 他で報告されている架橋在を用いた実験で, これらのタンパクがすべて隣接する点から40Sサブユニットあるいは80Sリボソーム中でこれらのタンパクが隣接してmRNA結合ドメインを構成すると想像される. なお40S中で同定されたL5の存在理由は不明であるが, RNA成分を分析したところ5SRNAの存在が確認できた. 同様にラット肝Mative40Sサブユニットの解析から5SRNAの存在が認められたがL5タンパクの存在は検出できなかった. またラットの18srRNAと5SRNAが対合する結果を得たので, 40Sサブユニットと5SRNAの結合が18seRNAの関与によるものと考えた. 二本鎖特異的RNaseによる19srRNA・5SRNA対合体の分析は18srRNAの3′側1852-1858番目と5SRNA3′末端付近97-101番目の塩基間での対合の可能性を示唆した. 今回の報告は, リボソーム上の開始AUGコドンを含むmRNA結合ドメインが4-5個のタンパク質からなりしかもこのドメインがタンパク合成開始する際に, RNA-RNA間の対合により40Sと60Sの会合に機能する部位あるいは近傍に位置すると考えられる. 省略:タバコモザイクウィルスRNA TNV-RNA
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