研究概要 |
1.ヒト赤血球プロテインホスファターゼの多様性の解析(武田分担) ヒト新鮮血赤血球の可溶画分には共通の触媒サブユニットを持つ3種のプロテインホスファターゼ,【I】(分子量18万),【III】(分子量17.7万),【IV】(分子量10.4万)が存在することを明らかとした。【I】,【III】,【IV】の可溶画分におけるモル比は6:1:14であった。 2.【I】,【III】,【IV】の精製とそのサブユニット構造(碓井分担) 【I】,【III】,【IV】を均質に精製し、それぞれのサブユニット構造を【α_1】【β_1】【δ_1】,【α_1】【β_1】【γ_1】及び【α_1】【β_1】と決定した。各サブユニットの分子質量はαが34kDa,βが68kDa,γが54kDa,δが74kDaであった。 3.【I】,【III】,【IV】の性状(武田分担) 【I】,【III】,【IV】を80%エタノールで処理するといづれも34kDaのαサブユニットが回収された。【I】,【III】,【IV】及びαはいづれも広い基質特異性を持つが、各基質に対するkm及びVmax値は異なる。これらの酵素のホスホリラーゼに対する活性は阻害蛋白質2によって阻害されず、これらの酵素はホスホリラーゼキナーゼのαサブユニットの脱リン酸化を優先的に触媒することから2A型プロテインホスファターゼに分類された。【III】と【IV】のP-H2Bヒストンに対する活性は【Mg^(2+)】又は【Mn^(2+)】により活性化されるが、【I】及び【α_1】の活性は促進されない。 4.サブユニットの機能の解析(碓井分担) 【I】,【III】,【IV】及びαの種々の基質に対する分子活性を測定し、それらの比較から各サブユニットの機能を推定した。βはαのP-H2Bヒストン及びホスホリラーゼに対する活性を抑制するが、P-H1ヒストンに対する活性は促進する。γは【α_1】【β_1】のP-ヒストンに対する活性を促進するが、ホスホリラーゼに対する活性は抑制した。δは【α_1】【β_1】の全ての活性を抑制した。βはαに2価金属要求性を与えるがδはそれを打ち消した。
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