研究課題/領域番号 |
61570128
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
医化学一般
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研究機関 | 佐賀医科大学 |
研究代表者 |
松村 末夫 佐賀医大, 医学部, 助教授 (00093534)
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研究分担者 |
村上 規子 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (60032223)
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研究期間 (年度) |
1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1986年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 脳ミオシン / 燐酸化 / 脱燐酸化 / Actin-activated Mg-ATPase / 超沈澱 |
研究概要 |
本年度は、主として、脳のミオシンのATPase活性(Actin-activated Mg-ATPase)と運動性(収縮力)に及ぼすミオシンの燐酸化・脱燐酸化の影響に関する研究を行なった。牛脳より分離精製したミオシンの軽鎖成分と重鎖成分にはそれぞれミオシン1分子あたり約1モルと約3モルの燐酸(軽鎖成分と重鎖成分あたりではそれぞれ0.5モルと1.5モルの燐酸)が含まれていた。軽鎖成分と重鎖成分に含まれる燐酸の大部分は、それぞれ、脳から分離したホスファターゼと馬鈴薯の酸性ホスファターゼにより除去できた。このように脱燐酸化したミオシンをミオシン軽鎖キナーゼとカゼインキナーゼ【II】で再び燐酸化すると軽鎖成分と重鎖成分にそれぞれ約2モルと約3モルの燐酸が取込まれた。ミオシン軽鎖キナーゼによって再燐酸化したミオシンのATPase活性は脱燐酸化したミオシンのATPase活性の約2倍程度であった。一方、脱燐酸化したミオシンとアクチンの複合体(アクトミオシン)にはほとんど超沈澱(アクトミオシン分子集合体のATP依存的凝集)形成は認められなかったが、再燐酸化したミオシンとアクチンの複合体は速やかに超沈澱を形成した。さらに、この超沈澱は相互に会合し極めて密な小塊にまで収縮した。これらの結果は、脳のミオシンの軽鎖成分の燐酸化が、ミオシンのATPase活性を促進するように作用するのみならず、むしろ、ATPの加水分解により生ずるエネルギーをアクトミオシンの収縮力(物理運動)に共役させるのに必須の役割を果している事を明らかにしている。また、脳のミオシンには極めて強い収縮力が備わっていることが明らかとなり、このミオシンの収縮力が、神経細胞やグリア細胞に種々の細胞運動を生じさせるのに十分足り得るものである事をも意味している。なお、カゼインキナーゼ【II】による脳ミオシンの重鎖成分の燐酸化の意義はまだ明らかではない。
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