研究概要 |
受容体-cyclic GMP連関の機構は不明である. 受容体刺激-情報伝達過程で生成される膜内の物質がmediatorとなり, 受容体と膜局在グアニレートシクラーゼ活性が連関していると考える. 私共は, 生理的低濃度のCa^<2+>と不飽和脂肪酸により著明に活性化されるguanylate cyclase(略してCF-G.Cycl-ase)をシナプス膜に発見し, Ca^<2+>と不飽和脂肪酸が活性化のmediatorであると考えるに至った. また, 上記酵素の活性化調節に関与すると考えられる高分子性調節因子(GCM)を酵素標品より分離した. 1.酵素の可溶化, 精製;ラット脳シナプス膜よりCa^<2+>と不飽和脂肪酸への依存性を有したままCF-G.Cyclaseを可溶化, 部分精製した. 2.本酵素の種々臓器別分布及び細胞分画別分布を測定した. 3.本酵素の活性化における脂肪酸の構造特異性を検討した. また, 過酸化反応等の検討により, 不飽和脂肪酸そのもの自身が, 本酵素の活性化に有効であった. 4.本酵素の活性化にはCa^<2+>が必須である. 50% max activationを示す遊離Ca^<2+>濃度は, シナプス膜の本酵素では 2.7μMであり, 精製酵素では2.3μMであった. カリモジュリンの関与は否定的であった. 5.本酵素の活性化にGTPが必須である. GTP誘導体の効果を測定した. 活性化におけるGTPのKa値は77.5μM, GTPγSのKa値は22.1μMであった. 6.Ca^<2+>とGTP共存による本酵素の活性化は温度依存性, および, 反応時間依存性であった. 7.高分子性調節因子(GCM)については, かなり高度に精製する方法を確立した. 分子量は37Kと考える. 臓器別含量, 細胞内分布などを検討した. 本因子はCF-G.Cyclaseの活性, 特に不飽和脂肪酸過剰域において, 著しい活性促進効果を示した. 8.百日咳菌毒素並びにコレラ毒素によるADPリボシル化は本酵素の活性にほとんど影響しなかった. 従って, GTPの作用点に未知の新しいGTPタンパクの関与が考えられる.
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