研究分担者 |
高橋 砂織 国立循環器病センター研究所, 生化学部, 研究員 (10142184)
渡辺 房男 国立循環器病センター研究所, 生化学部, 研究員 (40183719)
桃井 京子 国立循環器病センター研究所, 生化学部, 研究員 (90174359)
福井 清 国立循環器病センター研究所, 生化学部, 室長 (00175564)
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研究概要 |
腎尿細管由来の樹立細胞系であるLLC-PK_1細胞の〔^<14>C〕-α-メチルグルコシド取り込みに対して, 腎近位尿細管局在性のD-アミノ酸オキシダーゼ(DAO)とD-プロパルギルグリシンの反応生成物が約95%阻害することが判明した. 320nm附近に吸収極大をもつこの物質は不安定で, 構造決定に到らなかったが, NMRによる分析で2-アミノー4-ヒドロキシー2, 4-ペンタジエノエートーγ-ラクトンであることが強く示唆された. また, LLC-PK_1細胞膜をニトロセルロース膜上に単層作成し, この単層細胞膜を介してのNMRによるイオン輸送測定のための装置を開発した. 腎尿細管膜輸送の病態を研究する目的で, ブタ腎臓からDAO-cDNAのクローニングを行い, その構造を決定した. このクローンを用いて, DAOの試験管内合成に成功し, また, 単アミノ酸置換DAO変異体の試験管内合成にも成功した. さらに, ddY系マウス腎ホモジネートのDAO活性について, ほとんど活性を示さないものから, 通常の活性を示すものまで, 種々存在することを見出し, サザンおよびノザンブロットによる分析の結果, ddYマウスに見られる種々のDAO活性は遺伝子発現の場合の転写調節に由来する可能性が示された. ヒト尿プロカリクレインの活性化機構について, トリプシンを活性化酵素のモデルとして用いて検討した. トリプシンとプロカリクレインの反応初期における急激なカリクレイン活性の出現はプロペプチドの遊離によること, それに続くゆっくりとした活性上昇は1本鎖カリクレインの二本鎖への変換によることが示された. さらに, プロカリクレインの全アミノ酸配列を決定し, 初期の活性出現がArg(-1)-Ile(1)の, 二本鎖への変換がArg(87)-Gln(88)の水解によることが判明した. また, Asn(78), (84), (141)が糖鎖結合部位であることが示唆された. プロカリクレインとカリクレインの分子構造上の差は僅かであるが, 免疫化学的性質に明らかな差のあることも示された.
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