研究概要 |
マウス腎臓から基底膜IV型コラーゲンを精製し, ウサギで抗IV型コラーゲン血清を作成し, それを蛍光抗体法及び免疫組織化学法に応用し, 正常及び病的組織でIV型コラーゲンの存在状態を調べた. マウス初期胚発生へのコラーゲンの関与を解明する目的で, 2細胞期の胚を体外培養して, 2-8細胞期の各段階で, 特異的コラーゲン合成阻害剤を添加し, 影響を追跡し, コラーゲンがコンパクションで重要な役割を果たすことを形態学的に証明した. IV型コラーゲンの役割を免疫組織化学的に追研中である. BALB/C-nct/nct白内障のマウスを樹立し, それをモデルとして, 水晶体白濁過程でのIV型コラーゲンの変化を免疫組織化学法により調べたが, 積極的に関与している証拠が得られなかった. (C57BL/6×DBA/2)F, マウスへDBA/2脾細胞を静脈内移植し, 移入細胞対宿生(GVH)反応による自己免疫病マウス及びCBA/Klマウスのミュータント系自己免疫病マウスをモデルとして腎臓の病的変化に伴う基底膜の変化を免疫組織化学法により追跡した. 糸球体及び尿細管の基底膜の肥厚, 脆弱化など濾過機能障害を示唆する証拠が得られた. DDDマウスで樹立した可移植性妊娠依存性乳癌TPDMT-4は非常に安定したホルモン依存性を維持している点で独特であるが, ある条件では自律性癌へ進展する. 最近, コラゲナーゼとヒアルロニダーゼによる細胞外基質を破壊し, 遊離細胞の状態で移植すると悪性癌へ進展することを証明し, 悪性度を異にする亜株を樹立した. これらをモデルとして実験を進め, ホルモン依存性→自律性→転移性癌への進展に伴って, 細胞外基質量とIV型コラーゲン量が減少し, コラーゲン合成能が低下することを認めた. 更に, ウサギ及びヒトの腎臓からIV型コラーゲンを精製し, 抗血清を作成し, 実験動物間でのIV型コラーゲンの抗原部位が動物により同じものと, 異なるものがあることが判明した.
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