研究概要 |
私達は人甲状腺〓胞上皮細胞におけるTSH-vecepterの局在の確認と種種の甲状腺疾患においてTSH-vecepterの局在性がどの様に変化するかを主として形態学的立場から解明することを試みた. TSH-vecepterの局在性の証明にはTSH-vecepterに対する抗体を作製することが第一段階である. 私達はこのためTSH-vecepter抗体価の高い患者血清よりTSH-vecepter抗体を精製することをまず試みた. 即ちブタ甲甲状腺精製膜を用い, 患者血精と反応後, 結合IgGを遊離し, 精製抗体を得た. この抗体を用い人甲状腺組縞で蛍光抗体法を用いて染色した結果, 〓胞上皮細胞のapical plasma membraeで陽性所見が得られた. 又この抗体はimmunoblotting法にて分子量130,000の部位にbandを認める. しかしこの抗体は人TSHとの競合性は完全でなく, また甲状腺上皮細胞以上の組織でも陽性所見が得られることにより特異的なものとは考えられない. 私達は次に TSH-veceptoを間接的に証明する方法としてvas oncogent productの電顕免疫組織化学を行った. vas oncogene productは細胞膜においてoed-eryl ate cyclaseのGTPregulationに関与することが知られている. その結果vas oncogene productは甲状腺〓胞細胞のapiccal plasma membraceのみに局在し, 他のlateral,basal,plasmamembraceには局在しない. このことは先のTSH-vecepter抗体を用いた実験結果とよく一致した. 又本年度の研究では, さらに上皮細胞増殖因子受容体(EGF-veceptor)の免疫組織化学的検討よりEGF-vecepterも又甲状腺〓胞細胞のapical plasmaに存在することが明らかとなった. 以上の結果により, TSH-vecepterは甲状腺〓胞細胞のapical plasma membraceに存在する可能性が強く示唆された. 又病的状態におけるTSH-vecepterの局在性の変化については現在さらに検討中である.
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