研究概要 |
放り上げ刺激により痙攣が誘発可能になったElマウスの安静時〔El(+)〕,放り上げ刺激をしていないElマウス,すなわち痙攣誘発のないELマウス〔El(-)〕,及びElマウスの母系であり痙攣素因のないddYマウスの大脳皮質切片を作成し、放射性タウリンとアスパラギン酸を用いてuptakeとreleaseについて検討した。その結果、(1)El(+)のタウリンのuptakeはddY及びEl(-)に比べて低下していること、(2)El(-)のタウリンのreleaseはddYに比べて増加していたが、El(+)のreleaseはEl(-)に比べて低下していること、(3)El(-)のタウリン量はddYに比べて高いが、El(+)とは有意差のないこと、(4)El(-)のアスパラギン酸のuptakeはddYに比べて低いが、El(+)のuptakeはEl(-)に比べて高いこと、(5)El(-)のアスパラギン酸のreleaseはddYに比べて低下しているが、El(+)のreleaseはEl(-)に比べて増加していること、(6)El(-)のアスパラギン酸の量はddYに比ベて高いが、El(+)のアスパラギン酸の量はEl(-)に比べて低下していること、が明らかとなった。 タウリンは抑制性神経伝達物質、アスパラギン酸は興奮性神経伝達物質と想定されている。けいれん準備性を獲得したElマウス〔El(+)〕の大脳皮質においては、El(-)に比べてタウリンのuptakeとreleaseは低下しているが、アスパラギン酸のuptakeとreleaseは亢進していることが明らかとなった。又、Elマウスの痙攣を阻止するdiphenylhydantoin及びdipropylacetateは、El(+)のタウリンのreleaseを亢進させることが認められた。これらのことは、興奮性神経伝達物質の機能亢進と抑制性神経伝達物質の機能低下が、Elマウスの痙攣準備性に密接に関与していることを示唆している。
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