研究課題/領域番号 |
61570182
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
実験病理学
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
馬杉 洋三 日本医大, 医学部, 教授 (50060322)
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研究分担者 |
益田 幸成 日本医科大学, 医学部, 助手 (70173755)
石崎 正通 日本医科大学, 医学部, 助手 (40096954)
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研究期間 (年度) |
1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1986年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 抗Thy-1・1抗体 / 糸球体腎炎 / BrdU:Mesangium |
研究概要 |
1.研究目的:私達はすでに2種類のmesangium(以下Mと略)をtargetとする抗体を用いて実験的糸球体腎炎の作製に成巧した。今回この実験系を利用し腎炎発症後の糸球体の荒廃及び修復機転についてMの動態に着目し追求した。 2.実験及び結果:(1)抗Thy-1・1抗体1回投与ラットはfocalな糸球体腎炎を発症させるが、抗体投与2時間後にモルモットの血清を補体源として投与した結果すべての糸球体に病変を起こすことが可能となり以後の研究に用いた。(2)発症させたラットの腎を経時的に採取し、Thy-1・1抗原をmarkerとして免疫組織学的にM細胞の存在を観察した。この結果1日目ではM細胞は糸球体の極く一部に見られ他は消失し、その後M領域の拡張に伴って陽性細胞が増加した。しかし2週間後には正常の分布を示した。(3)Thy-1・1抗体投与後増殖の盛んな時にBrdUを投与し免疫組織学的に核内の取り込みを観察した所、糸球体内に取り込み細胞が多く存在し、2週間後には修復された糸球体のM領域に観察された。(4)Fibronectinの陽性領域はM領域に一致して拡縮した。【Ia^+】細胞はどの時期の糸球体にも対照と同様殆んど認められなかった。(5)腎炎発症2週間後にも一部にnodularな増殖性変化が残っておりこれを電顕的に観察するとM細胞の増殖とMmatrixの増生が認められ、matrix内にはコラーゲン線維が確認された。(6)抗Type【IV】collagen血清を家兎に投与することにより単球の遊走主体の腎炎が見られたが、病変は単球の消失とともに治った。 3.考察:Thy-1・1抗体によるラットの糸球体腎炎では壊死を免れたM細胞が過剰に増殖し、その後再び元の数の近くまで減少するに従い糸球体の修復が観察された。糸球体の基本的な構造が破壊される様な強い障害を受けた所は、M細胞の巣状な増殖が残り糸球体の改築は認められなかった。以上よりM細胞はある程度の障害を受けた糸球体の修復に重要な位置を占めていることが示唆され今後さらに詳細に追求したい。
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