研究概要 |
マウスを用いて, 真菌に対する生体の感染防御機構の解析, さらには, 化学療法剤の効果を検定するための真菌感染モデルの検討を進めた. その結果, 新たにthigh lesionモデルが, 真菌感染を長期的に観察するために, すぐれていることを明らかにした. このモデルにおいて, 感染防御に重要な役割を果たす, エフェクターの解析を進めた結果, 感染の初期にはPMNが, 後期にはマクロファージが重要であることを確認したが, NK-細胞の役割は認められなかった. このモデルを用いて, アムホテリシンBなどについて, その効果を検討したが, 有効性は確認できず, 現時点で, 全ての条件を満足するモデルの作製は困難であることより, それぞれの目的にあったモデルを用いる必要性を確認した. 抗癌剤として臨床的に用いられているBRMを用いて, マウスの菌血症モデルでの感染防御効果を検討した結果, 新たにレンチナンなどにおいて, 感染防御効果を示すことを明らかにすることができた. これらBRMについて, 投与スケジュールを検討した結果, レンチナンでは, 感染後に投与した系でも, 防御効果を示すことが認められた. BRM単独投与では, 生存したマウスでも, 腎臓中にカンジダがかなり長期間, 認められることより, 抗真菌化学療法剤との併用を検討した結果, アムホテリシンBとの併用で, 明らかな相乗効果が観察された. 真菌の感染防御作用を示すBRMについて, そのエフェクターの解析を進めた結果, これらBRM投与によって, 誘導されるインターフェロンが重要な役割を果すことが観察された. しかし, 真菌感染に有効なBRMの中には, 実際にはインターフェロンの産生は, 極めて僅かなものであることから, それらBRMのエフェクターについて, 現在詳細な研究を継続している. インターフェロンの感染防御作用については, 組換え型のインターフェロンαを用いて確認することができた.
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