研究概要 |
病原性大腸菌0111及び細胞侵入性大腸菌0157に新しいVero細胞毒素を検出した。この新しいVero細胞毒素を、硫安分画,DEAE-celluloseカラムタロマトグラフィー,クロマトクォーカシングカラムクロマトグラフィーHPLC(TSK-gel G2000SW)を行い精製した。精製した新しいVero細胞毒素は、以下に記載する物理化学的・生物学的および免疫学的性状において興味深い特徴をもつことがわかった。 1.本毒素は、分子量35000のAサブユニットと分子量10700のBサブユニットからなり、等電点は4.1であった。A・Bサブユニットの分子量は、Shiga毒素のサブユニットと比較して低分子量であり、Shiga毒素とは分子構造を異にすることがわかった。 2.本毒素はVero細胞50%を死滅させるに要する最小量は、1pgであり、腹腔投与によるマウス致死活性(【LD_(50)】)は1ngであった。なお、本毒素のこうした生物活性は80℃、10分間の加熱処理により完全に失われた。 3.本毒素は免疫学的にShiga毒素と抗原性を異にすることがわかった。また、50pg/mlの毒素を検出できるELISAの新しいシステムを確立することができた。 次に、CHO細胞毒素について、病原性大腸菌055、0111などの病原性大腸菌に広く分布することがわかった。現在、CHO細胞毒素の大量精製を行っており、精製毒素の性状と下痢原性とを明らかにする予定である。
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