研究概要 |
百日咳I推菌のAdenylate Cyclase(以下ACase)Toxinは基本形として3つのドメインのComplexとして存在するが, その分子多形性のゆえに, まだ精製法も確立しておらず, その蛋白化学的実態についてはよく分っていない. 本研究は, その実態を遺伝子レベルから解析するために, ACase遺伝子moietyのクローニングで開始された. (1)大腸菌や酵母のACase遺伝子のClsntng Strategyを応用すべく, まず大腸菌X1776株よりACase欠損変異株(cya)を分離した. この菌株はlactase, Mannitolなどの各種の糖発酵能やflagella形成などcAMP依存性の遺伝子が発現しない. (2)百日咳菌東浜株の染色体DNAの酵素分解物をpBR322につなぎ, 大腸菌cya変異株にTransformし, lactose^+,mannitol^+の株を分離したが, 同時にmotilityなど他のcAMP依存性遺伝子も発現しており, 8.1Kbの雑種プラスミドを保有していた. これを別の大腸菌のACase欠失変異株(ΔCya)に導入すると多重欠損の形質が同時に回復した. (3)作成した物理地図に従って, 酵素分解により, 各種欠失変異遺伝子を作成して大腸菌のΔCya株に導入し, ACase遺伝子のcAMP依存性パラメータの発現を指標にしてACase遺伝子の局在を調べた所, 3.7Kbの挿入断片の2.6Kb領域部分に局在することが確認された. (4)大腸菌のACase遺伝子断片をプローブにしてSouthern Hylirtdizationを行なった結果, 百日咳菌の3.7Kb断片と弱いながらHyluidizeする事が確認され, 両菌種のACase間に弱いながらホモロジーのある可能性が示唆された. (5)大腸菌に於ける高発現系を構築する情報を得る目的で3.7Kb断片よりKilosequence法で得られる多数の欠失変異DNAをDideoxy法によりsequencingし, 現在, 一応3.7Kbの1本の構造につながったが, なお数ヶ所の未確定配列領域が残っており, 最後の詰めを行なっている.
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