研究課題/領域番号 |
61570217
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
細菌学
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
中江 太治 東海大, 医学部, 教授 (50102851)
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研究分担者 |
小林 頼子 東海大学, 医学部, 研究員
良原 栄策 東海大学, 医学部, 助手 (70167063)
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研究期間 (年度) |
1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1986年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 外膜 / 透過孔 / 緑膿菌 / 薬剤耐性 / 排除限界 / 日和見感染 |
研究概要 |
本研究においては緑膿菌の抗生物質自然耐性の機序を明かとする目的で、この菌の外膜透過性の検討をした。その結果次の事柄が明かとなった。1.緑膿菌の生菌を分子量の異なる0.5M糖質で処理し、その重量を測定したところ分子量194以下の単糖で処理された菌の重量は処理前に比べ大差なかった。一方、二糖以上の糖質で処理された菌の重量は処理前に比べ約20%軽減した。この結果は二糖類以上の糖質が外膜を透過できないため菌の外膜に浸透圧を掛け菌体が収縮したものと解釈された。2.高張糖質で処理された菌に浸透圧ショックを掛けペリプラズムタンパク質の細胞外流出を測定したところ単糖類で処理された菌のみにショックがみられた。この結果は分子量194以下の糖質のみが緑膿菌外膜を透過できたことを物語っている。3.0.3M食塩で拡張されたペリプラズムへの糖質の透過を測定したところ単糖のみが透過できるという結果を得た。4.高張糖質で処理された菌の超薄切片を作りこれを電子顕微鏡で観察したところ単糖で処理された菌は原形質分離を起こしたけれども二糖,三糖,四糖で処理された菌では菌全体の収縮が観察された。この結果は上記1に述べた二糖類以上の糖質で処理された菌体は重量の軽減を期した事実を形態学的に裏付けしたものである。 これらの実験結果に共通している事実は緑膿菌外膜は中性糖質の場合分子量150のリボース、分子量194のメチルヘキソース程度まではその透過を許すが分子量342以上の二糖類、及びそれ以上の分子量を有する糖質の透過はこれを許さない事を示している。この結論は今日まで提唱されていた。緑膿菌外膜には分子量数千の多糖体を透過させるような透過孔が存在する、というこれまでの他の研究者の主張を否定するものである。従って緑膿菌における抗生物質自然体性の原因の1つは外膜における透過孔の孔径の小ささに原因していると結論した。
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