研究概要 |
種を越えて広く脊椎動物のMHCクラスII抗原に交叉反応するモノクロナル抗体(IAbl, D2A2mAb)を用いてT細胞活性化機構の解析を行った結果, 同じH-2^bを持つB6とBALB, Bの抗原特異的T細胞活性化におけるD2A2mAbの阻止効果に差が認められた. BALB, B APCの抗原提示能はB6のそれに比較しD2A2mAbに阻止されやすく, APCの抗原提示機構にH-2のみならずnon-H-2が関与していることが分った. このnon-H-2分子に対するモノクロナル抗体(C1M-1)をSDラットにマウスマクロファージ株P388D1を免疫し細胞融合法で作製した. C1M-1分子は35K, 60Kの非共有結合蛋白であることがSDS-PAGEで示されたた. C1M-1分子は同系のみならず異系, 異種T細胞の活性化にも機能するAPC膜上分子であり, またマウス胸腺細胞の1L-1とConA刺激に対する反応にも機能することが示された. さらに, BIOThy1.1マウスとBALB, BThy1.2マウス間の骨髄移入によるキメラ動物の抗原特異的T細胞反応におけるD2A2mAbの阻止効果を調べた. その結果, BALB, Bの骨髄細胞をX線照射BIOマウスに移入して得られたBALB, BThy1.2T細胞の活性化はD2A2mAbで阻止されず, 一方, BIO骨髄細胞をBALB, Bに移入して得られたBIOThy1.1T細胞の活性化はD2A2mAbで阻止されることが分った. このことから, 抗原特異的T細胞の活性化にMHCクラスII分子と共に機能するnon-H-2分子群の一つにC1M-1抗原が含まれることが示された. また, MHCクラスII認識におけるT細胞クロンレパートリー統御機構にすでに報告されているLFA分子群などnon-H-2分子群および本研究で明らかとなったC1M-1分子が機能していることが示された. C1M-1分子のアミノ配配列, 遺伝子のクローニング, 染色体マップなどは今後の点として残されている.
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