研究概要 |
1.現在までに結果の得られた、発癌試験のデータを主として国内分は国立衛生試験所病理部より、国外分はNIHのデータブックを入手した。 2.これらの整理は中途であるが、一部のデータを抽出して以下の検討を加えた。(1)用量段階数が4以上で、実験動物数が一群当たり50匹以上という実験は、日本国内では数少ないが、その中で、OPP-Naの発癌試験結果を取り上げた。従来の実験デザインは、最大許容濃(MTD)を求め、これを、公比2または3で減じて各群に投与する。本例では用量反応曲線は下に凸の形状を示し、ワイブルモデルが最もよくあてはまった。このパラメターを真値として、シミュレーション実験を行なった。用量デザインは従来の方法と、もう一種は発癌率が20〜40%となる用量域を密にした方法を仮定した。両デザインとも実験動物数を20,50,100,200,500匹(各群)とした5通り考えた。これら計10通りの実験デザインごとに100回のシミュレーションデータを生成し1000個のデータセットを、再度ワイブルモデルに当てはめ、パラメターを計算した。実験デザイン別にパラメターの分布状況を検討したところ以下のようなことが明らかになった。(1)従来の用量デザインは最適ではない。すなわち、発癌率が20〜40%となる用量域を重視して群を設定すべきである。このことは、用量反応曲線が下に凸の場合に言える。上に凸の場合は低濃度領域に密に用量群を設定すべきであり、従来の公比で減じる用量デザインでも近似できよう。いずれにしろ、用量反応曲線の形状がある程度わかっていなければ最適デザインは不可能であろう。(2)群ごとの実験動物数は20匹では不足であるが(パラメターのちらばりが大きい)、50匹以上になるとほぼ安定した結果が得られる。内挿すると、群当たり30匹程度でも十分のようである。 3.以上の分折にも必要となった、数学モデルへのあてはめを行なうコンピュータプログラムを開発した。
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