研究概要 |
1マクロファージと平滑筋細胞相互作用 β-VLDL(放射性コレステロールエステルでラベルしたもの)とマクロファージをインキュベートしそのメジウムを平滑筋細胞に作用させた時, 平滑筋細胞内の放射活性はマクロファージを加えずにインキュベートしたメジウムに比較して約3倍の増加を示していた. 同様にヒトIDL, マクロファージ平滑筋細胞の系においても同様の結果を得た. このメジウムの分析によりβ-VLDL又はIDLとマクロファージの反応において新たなLipid prtein particleが生成され, これがLOL-receptorとは異なった経路を介して取り込まれ平滑筋細胞にコレステロール, エステルを蓄積させることを明らかにした. このparticleはコレステロール, リン脂質に富みApoE.ApoAを含んでいた. 2内皮細胞と平滑筋細胞の相互作用 動脈硬化巣にみられる内膜肥厚を形づくる内膜の平滑筋細胞の性質を培養系を用いて検討した. 内膜の肥厚は家兎の股動脈よりカニュレーションを行い, 作成しその肥厚部の切片よりexplant法によりIntimal SMCを調整した. 内膜平滑筋細胞はLDLとaLDLを共に取り込みコレステロールエステルを蓄積させていた. これらのことは内膜肥厚とその部位での平滑筋細胞由来の泡沫細胞の出現機構を一部説明していると推測した. このような内膜平滑筋細胞の性質発現制御について検討する目的で内皮細胞とのco-culture systemを用いて検討した. 中膜平滑筋細胞の増殖は内皮細胞により抑制されたが, 内膜平滑筋細胞のそれは抑制されなかった. 以上のように血管壁を構成する細胞群はそれ単独で機能するばかりではなく, そこを構成する種々の細胞間相互作用によりその代謝能を果すと共に病巣形成に関与する可能性が示唆された.
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