研究分担者 |
平井 久丸 東京大学, 医学部(病), 助手 (90181130)
岡部 哲郎 東京大学, 医学部(病), 助手 (80169135)
寺井 千尋 東京女子医科大学, リウマチ痛風センター, 講師 (40188660)
野島 美久 東京大学, 医学部(病), 助手 (90201699)
高野 清豪 東京大学, 医学部(病), 医員
TAKANO Kiyohide University of Tokyo, Faculty of Medicine
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研究概要 |
全身性エリテマトーデスにおいて赤血球のC3bレセプター(CR1)が低下しており, これが病勢によって影響を受けず, また血縁者にも認められるため, 疾患素因の良きマーカーになり得る事を, 我々は報告してきた. 加えて, CR1の免疫複合体除去に演ずる役割を考えると, SLEにおけるこの所見が, 病因的にも重要な意味があることを指摘したきた. 今回明らかになったことは, 先ず第1に, この異常がSLE以外にも, 微少変化型のネフローゼと, 悪性血液疾患にみられることである. ただ, 現われ方が両疾患で差があり, 前者ではsute数が, SLEと同じくメンデル遺伝の法則に従うにの対して, 後者では, 血縁者に比して異常に低い値が認められた. 第2は, SLEにおいて赤血球のみならず, 顆粒球のCR1も低下していることが判った. 恐らく他の血球でもCR1の発現は低下していると思われ, この異常が幹細胞レベルで既に存在することを示唆する. 第3に, 悪性血液疾患において, 腎糸球体上皮のCR1も著明に減少していた. 血液細胞と腎糸球体上皮細胞が発生学的に近縁であることを考え合わせると, この異常は個体発生のかなり早期に出現していることを考えさせる. この所見はSLEにおいても認められている. 第4に, in vitroの系で, 赤血球CR1 ste数が, 確かに赤血球の免疫複合体結合能を左右し, また, CR1活性の低い赤血球では, 小分子免疫複合体を結合し得ないことが確かめられた. 以上より, SLE, 微少変化型ネフローゼ, 悪性血液疾患にはC3bレセプターの活性低下という共通した免疫異常が, 体細胞に広範に認められ, これは疾患発現に重要な役割を演じているものと思われる. これが遺伝子レベルでの異常によるものか否かという点に関し, 現在検討中である.
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