研究概要 |
アミノ酸や糖の細胞内輸送機構を調べるため細胞内部膜として大きな表面積を占める小胞体膜を調製し, 小胞体膜小胞へのアラニンとブドウ糖の取り込みを検討した. 使用したラット小腸上皮小胞体膜小胞へのL型アラニンおよびD型ブドウ糖の取り込みはいずれもナトリウムイオン, 塩素イオン濃度勾配に影響されず, 拡散あるいは単に小胞体膜へ結合するものと考えられた. 小胞体膜小胞への結合は, L型アラニンに比しD型ブドウ糖の方が強い傾向がみられた. また, 小胞体膜調製段階で小胞体膜マーカー酵素を検討した結果, 一般的に認められているGlucose-6phosphataseはラット小腸上皮細胞小胞体においては適用できず, Acyl-CoA:monoglyceride acyltransferaseが有用であった. 今回の検討により, ラット小腸上皮小胞体はL型アラニン, D型ブドウ糖輸送にとって重要な役割りを担っていないことが示唆された.
|