研究概要 |
我々はグアナーゼ(GU)活性の高い輸血血液を廃棄することにより非A非B型輸血後肝炎の発生を予防出来ることを明らかにした(Hepatology6:993,1986,日消会誌83:2266,1986)。本研究においてはGUに特異性が強く、一般臨床検査として利用可能なGUの免疫組織化学的染色法を確立するため、ヒト肝よりGUを精製分離し、家兎免疫後、抗体を採取し、GUの免疫組織化学的染色法を確立した。まず、ヒト肝抽出液を作成し、上清の硫安40〜70%分画を採取し、脱塩後DE-52カラムクロマト、Hydroxyapatiteカラムクロマト、UItrogel ACA-34カラムクロマト、ゲル液体クロマト(TSK3000SW)およびイオン交換液体クロマト(TSKgelDEAE-3SW)に順次かけ、ヒト肝GUを精製分離する。精製分離されたヒト肝GUを抗原とし、家兎を免疫し、GU抗体を作成した(日消会誌82:1805,1985)。採取されたヒト肝GU抗体を用い、マレーミド法によるPeroxidase標識抗体を作成し(石川法)、GUの免疫組織化学的染色法を確立した(Clini Chim Acta投稿中)。さらに、本法およびNBT法を用い、ヒト肝およびその他の組織におけるGUの分布を明らかにし、種々肝疾患におけるGUの組織内分布の特異性を明らかにした。(Acta Histochem Cytochem 19:437,1986,日消会誌84:(4)掲載予定)。最近、電子密度を有する反応物質を生成するテトラゾリウム化合物(yellow tetrazolium(YT)が合成されており、NBTの変りにTYを用いた新しいGUの電顕的(細胞化学的)証明法をも確立した。(Acta Histochem投稿中)。 以上の光顕的および電顕的GU証明法を用い、さらに症例を重ね、非A非B型肝炎の病態と肝GUの関係を明らかにし、GUの組織化学的証明法を非A非B型肝炎の診断の1つとして確立することを目的として、さらに本研究を続けたい。
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