研究概要 |
抗CEAモノクローナル抗体による腫瘍の局在診断を企図して、CEA分子上の抗原決定基の異なる各種モノクローナル抗CEA抗体のCEA産生腫瘍への集積性を、in vitro,in vivo両面から検討した。〔方法〕用いた5種類の抗体はいずれもIgG抗体で、NFCA-common partに対する抗体F4-82,NFA-1-common partに対する抗体28AとF3-30,糖鎖部分と反応する抗体F4-11,CEAに特異的と思われる抗体F33-104とコントロールとして正常マウスIgGについて以下の実験を行った。培養大腸癌細胞(BM314,M7609)と上記抗体を種々の濃度で反応させ、RIA間接法で細胞膜への抗体結合能を検討するとともに、これらの抗体をI-125で標識し、培養細胞と反応させる直接法で、細胞との結合を検索した。上記2種類の細胞をヌードマウスの大腿皮下に移植して径約1cmの腫瘍を作成、I-125標識各種モノクローナル抗体を静注し、シンチグラフィと各臓器のRI測定を行った。〔成績〕in vitroでは、28Aが最も高い結合性を示し、つぎはF4-82であった。 F4-11はほとんどコントロールのIgGと差を認めず、F33-104,F3-30がその中間の結合性を示した。両細胞系とも、また間接法、直接法ともにほぼ同様の成績が得られた。in vivoでは、F4-11を除きいずれの抗体も腫瘍への特異的な集積がみられた。各抗体の腫瘍集積性を注射後8日目の腫瘍/血液RI比でみると、F33-104が他の3つの抗体に比べ有意に高い集積性を示した。 〔結論〕検討した5種類のモノクローナル抗CEA抗体は、F4-11を除いて2種類のCEA産生腫瘍にin vitro,in vivoとも特異的集積を示した。in vitroでは28Aが最も高い結合生を、in vivoではF33-104が高い集積性を示した。このようなin vitro,in vivoの解離に関しては、投与抗体の血中clearance,degradationを含めて検討を予定している。
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