研究概要 |
肝癌において進行癌または集学的治療の一部として化学療法は重要な治療法である. 抗腫瘍効果をあげるために抗癌剤の感受性試験が行われているが, subrenal capsule assay(SRCA)法は, 少量の癌組織片を用いて行うことができ, 短期間に判定可能であるが, 今まで主に手術標本を材料とされてきた. そこでSRCAに経皮的吸引生検材料を用いる方法を確立するための検討を行った. 肝癌18例(原発性肝癌11例, 転多性肝癌4例, 胆管細胞癌3例)に対し, 当科で開発した21G細径針を用い, 超音波ガイド下吸引生検を行い, 直径1.0mm, 長さ1〜2cmの組織片を得た. この生検材料を用い, Bodgenの方法に従いBDF1マウス腎被膜下に移植した. マウスの宿主反応を抑えるため, 免疫抑制剤としてcyclosporin A 60mg/kgを連日投与ないしはcyclophosphamide 150mg/kgを前日投与した. 18例中11例には抗癌剤を投与し, 感受性テストを行った. 投与量はBDF1マウスの最大耐量とし, 判定方法はΔTS法を用いた. 18例の評価可能率は16/18(88.8%)であった. 抗癌剤投与11例における各々の薬剤の有効率はCDDP5/7(71.4%), ADR5/9(55.5%), MMC2/5(40%)であった. 吸引生検材料を用いてもSRCAにおける生着率は高く, 手術で得られた組織を使用した場合と変らず, 組織量としては少ないが, 感受性を調べる薬剤を数種にしぼる事により抗癌剤の感受性テストは十分可能である事が判明した. 現在臨床に応用し, 症例の蓄積をはかっている.
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