研究概要 |
雑種成犬における抗原感作成立の確認:雑種成犬にエバンスブルーを静注し, 回虫(Ascaris suum)抽出抗原, , 又はダニ抗原による皮内テスムを行う. 15〜30分後に膨疹を確認した場合陽性と断定し, 同抗原により吸入暴露を行なった. 抗原吸入試験:雑種成犬を麻酔後, 抗原一万倍, 千倍, 百倍希釈液を超音波ネブライザーで5分間吸入させ, 初期呼吸抵抗の2倍以上の増加(即時型反応)が生じることを確かめた. 即時型反応後, メチラポン50mg/kg静注し血中コーチゾールを低下させた. 約4〜6時間後に遅延型反応が出現することを呼吸抵抗連続測定により確認した. 遅延型反応出現中に屠殺し, 片肺にて気管支肺胞洗浄を行い, 他肺にて組織学的検索を行った. 副腎皮質ホルモン合成阻害剤メチラポン投与により約1/3〜1/2において2相性喘息発生反応を示した. メチラポン投与なしの犬では全く遅延型反応は示さなかったことにより, 2相性反応を示す例と示さない例との差は副腎皮質ホルモンに依存しており, 副腎皮質ホルモンが低下している例では遅延型反応をおこしやすいと言える. これまで気管支喘息患者で何故, アレルギー反応後2相性反応をおこす例がいるか不明であったが, 一つの解答が得られたと考えられる. 遅延型反応後, 気管支肺胞洗浄を行ったが, 好中球が35%と上昇しており, 遅延反応で好中球の関与が示唆された. 組織学的には, 単核球及び多核球の気管支周囲への浸潤が認められた.
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