研究概要 |
氣管支喘息患者血清中にIgEに対する自己抗体である抗IgE自己抗体が高率に証明される。この抗体はIgGクラスに属し血清中において自己のIgEと免疫複合体を形成している。新たに開発した固相酵素抗体法により、大量の検体についてこの抗IgE自己抗体の存在の有無を測定することを可能にした。その結果、この抗IgE自己抗体は、氣管支喘息のみならず、アトピー性皮膚炎,アレルギー性鼻炎,川崎病,食物アレルギー,寄生虫感染症などの疾患患者血清中に存在した。本年度の研究ではIgGクラスに属する自己抗体がいかなるサブクラスに属するかを検討した。氣管支喘息患者12名,アトピー性皮膚炎患者10名および高IgE症候群患者4名の血清を用いた。血清中の抗IgE自己抗体のIgGサブクラスの測定は、マイクロタイター・プレートに精製したヒトIgE骨髄腫蛋白を固相に固着し洗條後被検血清を添加してIgGクラスの抗IgE自己抗体を反応固着させる。次いでマウスモノクローナル抗ヒトIgGサブクラス(G1,G2,G3,G4)抗体を反応させ洗浄する。さらに、アルカリホスファターゼ標識抗マウスIgG抗体を反応させた後、基質を添加してアルカリフォスファターゼを発色させ吸光度405nmにて測定しIgGサブクラスの抗IgE自己抗体を測定した。(結果)氣管支喘息,アトピー性皮膚炎,高IgE症候群における抗IgE抗体のIgGサブクラスは、IgG1,IgG3,IgG4が認められ疾患群間に出現頻度,力価の違いは認められなかった。しかし、IgG2に属する自己抗体は、氣管支喘息と高IgE症候群の各1例に検出されたのみである。正常者血清中のIgGサブクラスの濃度を考慮すると、IgG4に属する自己抗体に検出濃度が比較的高いと推定される。IgG2に属する抗体がほとんど検出されない原因は現在不明である。
|