研究概要 |
自家骨髄移植併用大量化学療法(以下本療法と略す)に適する抗癌剤を, ラットを用い検討した. 検討した6種の抗癌剤(ADR,ACNU,CY,MMC,VDS,VP-16)のうち, 自家(同系)骨髄移植(BMT)併用の利点から認められた抗癌剤は, CYとACNUの2剤のみであった. つまりこの2剤に関しては, BMTを併用することにより抗癌剤投与後20日以前に生じる骨髄抑制死を防ぐことができた. しかし, 30日前後より骨髄抑制死以外の原因で死亡する例が認められた. このような動物の病理組織学的検討をしてみると, 高度の間質性肺炎が高率に認められた. 抗癌剤による間質性肺炎は臨床的にも報告されており, 本系はその動物モデルと思われた. そこで本療法による死亡率を低めるための, 抗癌剤の投与方法を検討した. 1).CY400mg/kg1回投与200mg/kg2回投与100g/Kg4回投与による生存曲線を検討した. その結果, BMT(-)では3群間で生存曲線に差はは認められなかったが, BMT(+)では, 200mg/kg2回投与群で最もすぐれた生存曲線が得られた. ACNUの場合は, BMTの有無にかかわらず20mg/kg2回投与の方が, 40mg/kg1回投与より死亡率が低かった. 20mg/kg2回投与BMT(+)群で最もすぐれた生存曲線が得られた. 2).CY400mg/kg, CY200十ACNU20mg/kgの3群間で生存曲線を比較した. その結果, BMT(-)では3群で生存曲線に差を認めなかったが, BMT(+)ではCY200十ACNU20で最もすぐれた 生存曲線が得られた. 3).PS-K,IL-1,OK-432のCY前投与の影響を検討した. その結果, OK-432(0.5KE/ラット)をCY(150mg2回投与)の1日及び2日前に腹腔内投与することにより, 以上のごとく, 検討した薬剤のうちではCYとACNUの2剤が本療法に適していることが示唆されたが, 毒性を減するための更なる工夫が必要と思われた.
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