研究分担者 |
山崎 享 神戸大学, 医学部・附属病院, 医員
竹内 素志 神戸大学, 医学部附属病院, 助手 (50188166)
矢谷 暁人 神戸大学, 医学部・附属病院, 医員
市川 靖典 神戸大学, 医学部・附属病院, 医員
秋田 穂束 神戸大学, 医学部, 助手 (60175792)
YATANI Akihito Kobe University Hospital, medical staff
ICHIKAWA Yasunori Kobe University Hospital, medical staff
YAMASAKI Tohru Kobe University Hospital, medical staff
山崎 亨 神戸大学, 医学部, 医員
藤井 隆 神戸大学, 医学部, 医員
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研究概要 |
神経伝達物質のノルエピネフリン(NE)およびオータコイドのセロトニン(5HT)とヒスタミン(HA)はいずれも強力な血管収縮物質であるが, これらの物質による血管収縮の生化学的機序を解明する目的で, 受容体を介する情報伝達機構とその制御について検討した. 生化学実験は家兎大動脈の摘出リング標本では^<32>Piラベル法にて, また培養平滑筋細胞では^3H-inositolラベル法にてイノシトール燐脂質代謝回転を調べた. 張力実験は家兎の摘出大動脈ラセン条片を用いて等尺性収縮力を測定することによった. 三種類のアゴニストは各々α_1, 5HT_2およびH1受容体の活性化によってイノシトール燐脂質代謝回転を促進させ, イノシトール燐酸(IP_1, IP_2, IP_3)を産生した. 各アゴニストに対する濃度-収縮曲線と濃度-PIラベリング曲線はほぼ一致した. 産生されたIP_3が細胞内貯蔵部位からCa^<2+>を放出させ, 収縮反応を生じるものと考えられる. 5HT受容体とイノシトール燐脂質代謝の間のsignal transductionにGTP結合蛋白質のGTP結合蛋白質のGiが関与していることを明らかにした. 又, protein kinase Cを活性化するTPAなどのphorbol estersは5HTによるイノシトール燐脂質の加水分解を抑制した. 受容体の種類によってイノシドール燐脂質の加水分解の機序に差異があることが, 刺激早期のイノシトール燐脂質(PI,PIP,PIP_2)への^<32>Piの取り込みの違いと細胞外Ca^<2+>への依存度のちがいから推察された. 環状ヌクレオチド(cAMPとcGMP)はこれらのアミンによるイノシトール燐脂質代謝を抑制したが, 収縮抑制効果との比較からこれらの物質は多様な作用点をもつと考えられた. イノシトール燐脂質代謝回転によって活性化されるprotein kinase Cの血管収縮, 拡張反応における役割を家兎摘出大動脈標本で調べた. TPAなどのphorbol estersはそれ自体血管収縮作用を有した. TPAはアセチルコリンなどの内皮依存性拡張反応を抑制したが, ニトログリセリンの拡張反応を抑えなかった.
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