研究概要 |
マウス脾細胞をγ-IL3存在下でメチルセルロールス法で培養すると、好中球,マクロファージ,巨核球,肥満細胞などのコロニーとともに、混合コロニー,幹細胞コロニーが形成された。混合コロニーの一部にはリンパ球様細胞がサイトスピン標本上確認された。リンパ球が互に1つの造血幹細胞から他の血球とともに誘導可能か否かを知るため、幹細胞コロニーよりマイクロマニプレーターを用いて幹細胞の単細胞培養を行ったが、IL3のみではリンパ球を含む混合コロニーは誘導できなかった。従って、1つの幹細胞よりリンパ球を含む混合コロニーを出現させるにはIL3以外のファクターが必要と考えられ、現在検討中である。ヒトIL3活性測定のための基礎的検討を行う目的で、マウスIL3依存性細胞株である32Dc1,DA1,FDC【P_2】の3つのcell lineを用いて検討した結果、32Dc1が最も特異性が高いことが判明した。PAH刺激ヒトリンパ球培養上清,ヒト肝芽腫来細胞株(KHC-1)培養上清中には、32Dc1を用いた測定において、明らかなIL3活性が認められた。一方、ヒト骨髄非貪食細飽,臍帯血非貪食細胞を用いて、IL3活性をBPA活性として測定すると、PHALCM,KHC-1培養上清ともBPA活性が認められた。無血清培養でえられたKHC-1培養上清を12倍濃縮後、トリス塩酸緩衝液で透析し、FPLCシステムを用いMonoQカラムにかけ、トリス塩酸緩衝液で展開すると、MonoQカラムに吸着し、0.15M NaCl付近で溶出される分画にBPAが存在した。この分画を濃縮、透析後Superoseカラムで展開すると分子量35000〜40000にBAP活性が認められた。ヒト臍帯血細胞培養よりえられた幹細胞の単細胞培養に上記分画を作用させてコロニー形成を試みているが、現在のところ、この分画のみではリンパ球を含む混合コロニーは形成されていない。
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